20180114 城ヶ尾歩道と奥世附歩道 [古道探索]
神奈川森林計画区(面積9,076.12㏊)第2次国有林野施業実施計画図
(全4葉)平成十四年度調査、平成十五年度調製
一般的には「林班図」と呼ばれている地図が有ります
手元に有るのは第2葉、世附の施業実施計画図です
林業にかかわる多くの情報が記載されている施業実施計画図ですが
山歩きに活用されている方も多いのではないでしょうか
M氏がこの地図で特に着目しているのは「歩道」の存在です
「歩道」と呼ばれる道は林業の仕事道、見廻り道だったようですが
それ以前、山で生活する人々の苫道が時代を経て「歩道」「林道」に変化していったのではないかとM氏は考えています・・・
仕事の道は登山の道とは違いピークを目指しません
基点から目的地迄は、アップダウンの少ない最短距離を繋ぐのが基本です
無駄にピークに登って体力を消耗する事は避けたい
その為には「道はなるべく水平に、ピークは巻いて峠を繋ぐ
そんな道が理想です
施業実施計画図に記されている歩道もその様な無駄の無い
実に効率よく付けられた道なのです
「城ヶ歩道と奥世附歩道」は
城ヶ尾峠から山伏峠まで続いている歩道ですが、唯一、大栂南東部の
斜面の部分が繋がっていません
・・と言うよりも「城ヶ尾歩道」が唐突に途切れているのは納得出来ない
そんな思いを持ち続けていました
「きっと道は繋がっている」
その「痕跡」を見つけ、歩道を繋ぐのが今回の目的です
【 前ブナ沢の径路 】
【 城ヶ尾歩道 】
城ヶ尾峠を南に下り、空122付近で奥野歩道と出合い西へと進路を変える
白水沢、白石沢、荷干沢、コモツリ沢を越えて大栂南東尾根1065付近で
忽然と道は消える
(城ヶ尾歩道の始点が城ヶ尾峠なのかは不明)
※世附歩道に比べて比較的穏やかな斜面に道が付けられているので
それなりに道型が残っているのではないかと想像される
特に尾根の廻り込み部などは特定しやすい筈である
【 奥世附歩道 】
菰釣山南尾根大栂南鞍部、北鞍部を経由し
菰釣山南西面から、水ノ木沢、ビリ沢、樅ノ木沢、山伏沢厳冬部源頭部
相甲国境尾根直下をトラバースし、要所小屋ノ頭南尾根に連なる径路
(始点、終点ともに不明)
※国境尾根の直下の険しい斜面をトラバース、沢の源頭部を渡渉して
いるので斜面の崩壊が激しくとても道型が残っているとは思えない
此処に道を付けること自体驚愕を覚える
施業図では、この二本の径路は繋がってはいません
不自然に途切れているんですね・・・理由としては
1・以前道はあったが崩れてしまったので消した
2・元々道なんて繋がっていない
3・実は大栂の北鞍部から東にトラバースして城ヶ尾歩道に合流
理由は色々と考えられますが
どう見てもこの道が繋がっていたのは必然です
今日のメンバーは
M氏と趣味を同じくする、イガイガさんと
Shiroさん・レガーさん・はっぴーさんの3名を巻き込んでの
探検隊です
【 菰釣山からの富士山 】
西沢林道Pからブナ沢経由菰釣山、大栂北側鞍部に下って
奥世附歩道の探索から始めます
地図上、歩道は大栂南側鞍部から西側の尾根を大きく巻いて北側鞍部を経て梅ノ木沢源頭部を北西に向かいます
大栂北側鞍部から両方向に向かう道型が薄っすらと残っています
しかしどちらの道も少し辿ると崩壊地で通行できません
此処で無理をしても後に響くのでここはあっさりと退いて次へ
「大栂に栂はあるのか」なんてことを確認しに大栂に登り
「栂は無かったね」・・・って事で南側鞍部へ降ります
【 菰釣山からの下り 】
【 菰釣山三等三角点 】
【 大栂石柱 】
【 踏み痕を辿るも先に進めず・・・視線の先に一筋 】
【 戻るのも大変です 】
南側鞍部から北西に延びる踏み跡を辿り径路の存在を確かめた後は
いよいよ「幻の道」を探します
一見してどこでも歩けそうな斜面ですが、標高を保つ水平径路に拘り
それらしい・・・しかし、獣の道にしか見えない踏み痕を辿って
水平に移動します
辿った筋が道だと確証は有りませんが、確かにここに道が付いていた
実感はが得られました
【 道らしきを?・・・辿る 】
休憩の後【空97】付近から更に水平に道を辿り「城ヶ尾歩道」を
探索しまが
菰釣沢本流にたどり着く前には既に踏み痕も確認できず
時間も押している為探索はここまでにして菰釣沢に下降します
菰釣沢の950M圏ですが、穏やかで開放感がある良い所ですね
おすすめの所ですよ!!皆さん是非
【 菰釣沢の950M圏周辺はパラダイス 】
まだまだ日が短い季節ですので帰路につきます
菰釣沢950M二俣境界尾根を登り菰釣山に登り返します
尾根途中、980M付近での「城ヶ尾歩道」横断部も確認出来ました
お正月、無駄に増えてしまった重い体で登りはきつい・・・が
楽しい山歩きとなりましたね
ついつい径路遊びに夢中になって写真をほとんど撮っていませんでした
皆さん、楽しんいただけたでしょうかね~?
その先・・・やりたいですね
菰釣沢からカワゴノ沢にかけて、楽しそうじゃ~有りませんか!!
全然関係ないのですが、今回参考にした施業図
世附、四ノ沢が四ッ沢となっていましたので
・・・多分誤植だとは思いますが・・・
大栂周辺の歩道と城ヶ尾歩道で、暫くは楽しめそうです
【 道なき道 】
2018-01-20 13:45
nice!(0)
コメント(6)
林班図に「四ノ沢」が「四ツ沢」になっている件、
同じく、誤植か誤記では?と初め思いましたが、
坂本光雄さんの古い手書き地図にも
「四ツ沢」と記されています。
推測ですが「四ノ沢」は「しのさわ」とも読め
「死の沢」につながるので「四ツ沢」と呼んでいたのではないかと考えます。
「壱之沢橋」なども「いちのさわばし」ではなく「いちのさわはし」と表記があり、川が濁るのを嫌って読みも濁らずに表記したと聞いたことがあります。
縁起を担ぎ、当時の林業関係者は「四ノ沢」を「四ツ沢」と言っていたのではないかと考えますがいかがでしょうか。
by イガイガ (2018-01-20 17:21)
М隊長
・・・と呼ばれていましたので(笑)
その先、楽しみです♪
よろしくお願いします。
by はっぴー (2018-01-20 18:03)
なるほど、̪̪死ノ沢では縁起が悪いですね
そう言った言い替えって結構ありますよね
イガイガさんの話はいつも説得力があるな~
勉強になります
・・・その先もお付き合いお願いします
by M氏 (2018-01-20 20:07)
いつの間にやら「M隊長」ですか?
その先もよさげな所にそそられるでしょ!!
次回は是非「は隊長」で突撃お願いしますね
by M氏 (2018-01-20 20:11)
おっと出遅れますた
しのざわ教授に全部!
(当隊は昔、フランス語の初歩を篠沢教授(1933-2017)の本で勉強しました)
by TI-AEK26 (2018-01-23 14:59)
興味の尽きない計画を、ありがとうございました。
大栂南面から西側に続く跡、気になります(^^)
しかし古道探索は、本当に難しいものだと実感をしました。
目の付け所を、今までも何度か教わっていましたが、
やはり難しいですね。
それだけ経路に乗れた時は嬉しさも出るのでしょうね。
また宜しくお願い致します。
今年の冷え込みは、例年と違います。
先日の大雪が無ければ、キンキンの氷瀑が現れたかも
しれませんね。
by レガー (2018-01-27 08:36)