20111223世附森林軌道Ⅱ [丹澤探索]
前回、世附森林軌道スイッチバック探索を行なったものの
何故か釈然としない、モヤモヤが付き纏っていた
すぐにでも再調査を行おうと思っていたのだが都合が付かず先送りになっていたが
次回探索に行く時は納得の行く結果が得られる様に、しっかりと事前準備をしておこうと
資料を再確認していた
そんな時にイガイガさんから、「一緒に探索に行きましょう!!」とのお誘い
「昨年の“大栃”騒ぎ以来1年ぶりの迷コンビ復活!!」なるか
新たにミックスナッツさんも加わり世附の山中をゴソゴソと探索に行って来ました
クリスマス寒波到来で世附の朝はとても寒い、
浅瀬に車を止めているのは2台だけの貸し切り駐車場、
釣師、ハンター、ハイカーの居ない丹沢最奥の地はとても静かだ
準備を整えて歩き始めるが体が温まる迄はまだ時間が掛かりそうである
浅瀬橋手前でお馴染みのいすゞのトラックに目をやりながら
浅瀬橋の森林軌道橋脚部を観察する、「馬頭観世音」もいつもと変わらず
静かに佇んでいる
夕滝ではその変貌振りに驚くが、滝そのものは見通しが利いて迫力が増した
ようだとの感想、水量が多い時の姿を見てみたいものだ
夕滝を過ぎると林道は荒れ、修理の手は入っていない
昨年の集中豪雨の凄まじさがそのまま残っていて荒々しい
擁壁がそっくり落ち土砂は流れ、斜面からのガレで埋まり、行く手を遮る
慎重に足場を確認しながら歩いて行くと、広々とした「芦沢橋」
芦沢橋脇にある森林軌道の橋脚は現在の橋桁よりも2M程高くなっていて
その作りもしっかりとしている、あの豪雨でも破壊されなかったのだから
大したものだと三人で感心する
芦沢橋を過ぎると大きく山抜けした場所を2ヶ所越えていく
前回は凍結していたので上部を大きく巻いていったが今日は歩けそうだ
最初の崩壊地イガイガさんは慎重に悪場を超えていく、
ここを巻かないで行ければ林道歩きが楽になり時間も節約できるので助かる
湯ノ沢橋ではイガイガさんがコンクリ堰堤の沢名確認
サルウシ沢、「西丹沢頂稜河川土地名称図」の通り
だが、だったらナゼ湯ノ沢橋なの??
大体湯ノ沢ってもっと先なんだよね??と首をひねる
2つめの崩壊地、ミックスナッツさんは軽快に越えていく
僕は慎重に、少しビビリながらへっぴり腰で、イガイガさんは慣れた足取りで
右手左岸に吊り橋と三保山荘の廃屋
怪しげな、今にも落ちそうな吊り橋をソロ~リそろりと渡り、行きの駄賃に廃屋見物
倉庫らしき建屋の中には「本州製紙」の看板が機材と共に積んである
現在は王子製紙と社名は変っているが立てられた当時は本州製紙
作業員の宿泊所だったのだろうか?
「山百合橋」で林道は右岸から左岸へ渡る
此の橋の下にも軌道の橋脚の痕跡が残る、軌道の橋脚基礎をそっくり林道に活用
している様だ
ここまでは前回の調査と変わりはなく淡々と再確認しながら歩いて来た
問題はここから先の軌道がどの様に進んでいくのか?である
旧版地形図では山百合橋を渡りスイッチバック基点となる所までは河床上10Mの高度を
平行を保ち進んでいる、では現在の状況は?
山百合橋を渡った林道はやや傾斜を上げ進んで行くが、その10Mほど下、林道に沿って
軌道の物と思われる石積みが河床と並行し上流に向かっている、一部損傷している部分
も有るが見事にその姿を残している
二段の石積みの上段に軌道が通っていたのだろう・・・図中①付近
そして500Mほど行った先にある昭和50年完成の「広河原堰堤」でその痕跡は途絶える
堰堤が出来る以前は河床に並行し進んでいた軌道はここで行く手を阻まれその先は堰堤に溜まったゴロタの中に消えてしまったのである
一度林道に戻り、程無く「広河原橋」この橋から下を眺めると軌道の橋脚架台跡が見える
林道に沿うように作られた石積みのアーチが優雅で力強い・・図中②
橋の先から名もない小沢沿いに河原に降り立つ、
河原の2Mほど高い位置に石積みが残る、ここが軌道面の様だ!!③
沢の出合から下流を探る、薄っすらと痕跡は認められるが、水流に抉られたのか
痕跡はない
しかしその上流部にはしっかりと石積みと軌道面の平坦な土地がしっかりと残っている
藪の中、途中崩れたこの軌道面を忠実に辿っていくと広い河原に出る
写真、後方に石積みと、軌道面がくっきりと残っている・・・図中④
◯福さんの記述によればこのスイッチバックの遺構付近右岸に「山北鉱山」の露頭が
確認できると言う
イガイガさんは用意してきた資料のファイルを片手に下流側に向かう
露岩に焼けは確認出来るが
3人で手分けして探るが残念ながら「山北鉱山」の露頭は発見する事は出来なかった
豪雨の影響で河床が上がりゴロタに埋まったのか? 我々の探索が足りなかったのか? 残念で有る、
気を取り直して「スイッチバック」の確認である
河原に降りて広い視野で斜面を見渡す、先ほど追いかけてきた下流からの石積みは
上流に向かい高度を徐々に上て行く
切り立った岩の崖の手前で二本の筋が合流して一方は下流側へ傾斜を上げていく
崖の先には世附川を渡る吊り橋が見えている・・・図中⑤
下流側に向かう石積みは広河原橋の方へ角度を上げ進んで行く
その軌道面を藪や倒木に阻まれながらも進んで行くと先ほど「広河原橋」下に残っている
森林軌道の橋脚軌道面にぴったりと一致した
間違いない!!旧版地形図に残るスイッチバックの軌跡をしっかりとトレースした!!
今日の課題を一つ達成した充実感が心地よい、3人の執念が実を結んだ
課題1クリアー
周辺図
休憩も束の間、次の課題が待っている・・・
「鎌田鉱山」丹沢では珍しく金を産出したと言う鉱山探索だ
この鉱山跡は林道沿いに有り、鉱口は安全の為にレンガで塞がれているらしい
前回探索した時、・・どうせ林道沿い、それも山神沢の両岸、簡単に見つかるな!!
と思っていたが、あれレレレ-?? 何処? 無いじゃん?と敗退
今回はそうは行かない、イガイガさん、ミックスナッツさん3人で作戦を?
立てながら山神沢に向かって歩く、
もうすぐ山神沢だ、右側斜面に目を凝らし歩いて行く
あれ?又沢を通り過ぎちゃった!!
引き返しじっくり観察、おかしいな、有るとすればこのヘアピン部なのだがな?
じっくり見ていくと斜面、ちょっと高い位置に不自然な平らな面が土砂の上に見えている
掘ってみればレンガで塞がれた坑道入口が姿を表した
確認するためにもう少し掘り出す、スコップを持って来ればと後悔するが後の祭り
この辺が精一杯だ
奥野さんの記述によれば坑道は沢の両岸に2ヶ所、とある
3人で周囲を探しまわるが見つからない、諦めかけた頃にもう一箇所鉱口跡を発見
また掘る!!ひたすら!!笑っちゃうね、いい大人が、 こんな山奥で
・・・でも止められない!!
僅かな隙間にカメラを突っ込み、写真を撮るがうまく写らない
中の様子が気になる、でもうまく写らない
金山草と言われているムラサキシキブが紫色の鮮やかな実をつけて直ぐ脇に佇んでいた
鉱口痕発見!!
奥野さんのメモ書きは後から読んでみると解るが、かなり正確に記述されている
鉱口は三箇所あるらしいがメモには沢の両岸に二箇所あると記述されている
今回発見したのは左岸側に2箇所
右岸側にもう一箇所有るのか? 有るとすればあそこしかない・・・しかし
三度目はスコップを担いで行かなくてはならないな!!
記述は勘違いか? 今となっては確かめる術が無いのが残念である・・・又課題が残った
次の課題に取り掛かる前にランチタイム、
林道を広河原まで戻り東電監視路の階段を降って吊橋を渡ると
土沢、世附川出合の広場、ここも以前は作業小屋でも有った様な広々とした所である
今は植林されているが数十年前は更地だった様な感じ、河原に下りて休憩する
土沢の荒れ様に言葉も無い・・・寒さが身に沁みる
イガイガさんがいれてくれたコーヒーで体が温まる・・・ご馳走様でした!!
腹ごしらえも済んで丸木橋を渡ります
旧版地形図によればここ広河原から峰坂峠にかけて径路が付けられています
この径路を辿って行くのが次なる課題、
取り付き部分は直ぐ解ります、道幅は一ひろ程もある立派な径路、小尾根を2つ乗り越えトラバースして行くと正面に「不動日影後沢」
大崩壊していて行く手を阻む、大きく見渡して歩けそうな所を探すが
倒木やガレ、そして何より正面の岩壁、これも豪雨のすさまじい爪痕
沢筋はヤバソウだ!!とは思っていたがこれ程だとは思っても見なかった
よしんば、無事沢に下り立つ事が出来たとしても安全に登り返す所が見つからない
この先、探索を断念・・これは正しい選択
少し引き返し、尾根に取り付き上を目指す、この斜面が急傾斜で、更に枝打ちされた木が邪魔で歩きにくくてしょうがない
・ ・・「ゼイゼイ!!」言いながら、大汗かいて登って行
傾斜が少し緩くなって来たところで林道に合流する
ミックスナッツさんとイガイガさんは林道周辺を歩いたと言う事で記憶を頼りに
かなり急な林道を登って行く、伐採された斜面、眺めは良いが
雨に土砂が流されるのは時間の問題か?
稜線の少し下をトラバースしながら林道は進んでいる
そろそろ帰りのルートを決めなくてはならない、
出来れば世附川の林道崩壊地はパスしたい&川の渡渉は避ける
イガイガさんが「芦沢橋付近のログハウス風建物付近に下りた事が有る」とおっしゃる
悪沢峠から下降する事に決定
林道も悪沢峠で行き止まり、替わる様に径路が植林地へ延びている
はっきりとした踏み後が先に続いていてなかなか快適な降り道だが
最後、芦沢に降り立つ所だけ崩れていて通行困難、しかし左側やや急な斜面を降ると
難なく「芦沢橋付近のログハウス風建物付近」に下降完了
降りてきた径路も旧版地図に記載の径路をトレースして来た様である
登り、降りどちらにも使える、今後利用価値が大きそうな径路である
・・・後は林道をトボトボと歩いて帰るだけかー!!・・・
と思っていたが、さにあらず!!
林道の対岸、右岸前方に崩壊した斜面、焼けの色が強くなっている岩盤下方に
ポッカリト横穴が開いているのをイガイガさんが発見
気になったら後悔したくないのは僕たちの性、ジャブジャブと膝上まで濡れて冷たい川
を渡るとどうやら坑道らしい?二股になっている先を覗くと奥に続いている様に見える
ガレが流れ込んで埋まっているので先には進めない、残念だが坑道には違いない様だ
思いもよらない新発見!!はっきりと記録に残っている訳ではないので何とも言えないが
試掘の痕では無かろうか?
この後も何か痕跡は残って無いかと河原を舐める様に眺めながら林道を下って行く
浅瀬まではあっという間の林道歩き、寒さが身に沁みる時間帯、
帰り支度をしていると、思わぬクリスマスプレゼントをイガイガさんから戴く!!
これは・・はっぴーさん・・からの物だそうだ
道中、美味しくいただきました・・こちらも有難うございました 、
ミックスナッツさん、寒い中付き合って下さって有難うございました
イガイガさん又何か良いネタが有りましたら“ネタ振り”宜しくお願いします!!
参考にさせていただいたサイト&資料
◯福さん・・・「丹沢を探る」
S-OKさん・・・「誰も知らない丹沢」
2006年7月16日(日)湯船山-白クラノ頭-土沢-山神峠-椿丸
旧版地形図 1/2.5万 駿河小山 84-4-2-3 S31/10/30発行
佐藤 芝明 丹沢・桂秋山山域の山の神々 S62/10/17発行
今日のコース
おまけ
2011-12-27 21:41
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MASAHIKOさん、楽しい課題をありがとうございました。
なかなか収穫の多い探訪だったので、次なる課題も生まれ、
拘りの性分にはたまらない山行でした。
次回も抜け駆けなしでよろしくお願いします!
by イガイガ (2011-12-27 23:42)
イガイガさん
収穫も多く、課題も多く、
次なる展開が楽しみですね
抜け駆けだなんて、滅相もない、また一緒にお願いしますよー!!
by MASAHIKO (2011-12-28 20:02)
寒かったですが楽しい一日でした。
AYさんからMASAHIKOさんの体力の凄さは伺っていましたが、
あの急斜面を平然と登るのには驚きです
次回は道具を揃えて参加したいです。
by ミックスナッツ (2011-12-28 22:25)
ミックスナッツさん
寒い中、お付き合い有難う御座いました
あんな遊びも面白いでしょ!!
またやりましょうネ!!
でもなかなかネタが無いんで、
面白い遊びが有りましたら誘って下さい!!
by MASAHIKO (2011-12-29 18:46)