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20110604「山神様」を巡る・・・山神峠-山神径路 [古道探索]

「山仕事」と一口に言ってしまうと素っ気ないが、樵・炭焼き・猟師・山師
様々な人々が昔から山の奥深くに足を踏み入れて生活していた事だろう
その痕跡は現在も色々な形で残されている様だ、
「旧径路」もその一つ、林道が発達した現在、使われなくなった径路は
荒廃が進み「その面影を僅かに遺すのみ」の所も多い
旧版地形図にはそんな旧経路が破線としてかなり山深くまで入り込んでいる
最近ちょっと気が付いた事だが、そんな旧経路の要所には「山神様」が祀られている
事が多い、そのまま峠の名前になっている所も有り興味が湧いてくる
「山神様」は一般的には「女神」だという事だ、そして鉱山の神様でもあるらしい
「女神」様に山歩きの安全を祈願し、山神径路の現状を確認してこよう!!

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山神(さんじん)峠-山神径路はVR先輩たちもかなり歩かれていてweb上に資料も多い
玄倉林道が通行止の現在、何処を基点にして歩くか悩む所だが
寄大橋から秦野峠林道を登り中澤橋、伊勢沢ノ頭南東尾根に取付き
伊勢沢ノ頭を経由して山神峠を目指す事ににする、
6:20  準備を整えて寄大橋を出発する、
猟犬の鳴き声だろうか?辺りに犬の鳴き声が響きわたっている
猟犬の訓練でもしているのだろうか?
15分程歩くと前方に赤い橋桁の中澤橋が見えて来る
橋の後方に見えるのが尾根の先端鞍部辺り

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何処から尾根に取付くか?橋を渡った右側の袂に踏み跡がある
沢に降りるように進んで行くと保安林の看板が眼に入る
微かに踏み跡も残っている、此処から取り付くことにしよう

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植林の中をゆっくりと登って行くと尾根の突端ピークの西側鞍部
此処から明瞭な仕事道を北西方向に進んで行く
途中にある小さなピークを巻く様に無駄なく付けられた仕事道もやがて
急斜面のジグザグ道となる、
等高線が詰まった部分はひたすら我慢の登りだ、一気に汗が噴き出てくる
標高が1000Mを超えた辺りから傾斜も緩やかになり自然林が清々しい

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植生保護柵で守られた斜面を進んで行くと、登山道が折り返す所
案内板の裏に出る、ここから登山道を一登り

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伊勢沢ノ頭・・・8:14

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伊勢沢ノ頭から少し北側へ歩き北西に下る
親切に山神峠方向への看板も有り迷うことは無い、
踏み跡もしっかりと有り登山道と変わらぬ歩き易い道だ

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富士山が樹間から顔を覗かす
梅雨に入りこの時期は富士山の姿もなかなか拝めないので貴重だ

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途中モノレールと並走し

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先輩方のブログにも登場する「朽ちかけた百葉箱」を過ぎると
山神峠はもうすぐそこだ

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・・・8:38・・・
山神峠の山神様は石段を登った祠の中にひっそりと佇んでいる・・・トップ写真・・・
社の扉は閉じられていて中の様子は見えないが、覗き込むと
水神様も一緒に祀られている様だ、
扉を開けて中を見たい衝動に駆られるが
そんな事をすると、この祠の直ぐ上にドカンと送電鉄塔を立ててしまう
罰当たりな人達と同じに成ってしまうな!!

この峠を行き来する人達を高い所から何十年?何百年
見守って来たに違いない「山神様」
当時の人達は何故この峠に、こんな立派な祠を祀ったのか?
旧版地図を見るとここは交通の要所だ、
玄倉の集落からユーシンへ、そして寄方面から山神峠、仏岩を拝みながら
仲ノ沢へ・・・そう、今で言う所のR246とR16の交差点みたいな所
なのでは無いのだろうか?  と考えてしまうが皆さんどう思います??

山神径路は今は地図から消えているが、当時は重要な径路だったに違いない
Web情報によると完全に径路が寸断されている所が2箇所
崩壊については至る所、と言う事だ・・・なんせ初っ端がコレだ・・先が思いやられる

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先制のボディーブローで少し弱気に成るが
悪い径路ばかりでは無い、いやむしろ歩き易い所が大半だ

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こんな所も確かに有るが、迂回路や巻き道、通行は出来る

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アッチ沢を越え暫く行くと
見てください!!この経路、幅員2Mの立派な林道です

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そしてこの先に立派な小屋跡(だろうと思う)が広がっている
石積みでしっかりと補強されたその周囲はまだまだ現役そのもので有る

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尾根の鞍部にはテーブルとモノレール、モノレールは尾根伝いに伸びている
径路は尾根を回り込み先に進む

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ヘビ小屋沢手前のスッパリと切れた径路
さすがにここは歩くことは出来ないので巻き道を探す
少し戻った所から上下を観察する、
下から行くとなると、かなり下まで降りなければならない様だ、上に向かう踏み跡に沿って登る
8M程登った所から崩壊地上をトラバースする、更に上に向かう踏み跡もあるが
トラバース気味に下降しながら崩壊地をかわす、そんなに苦労すること無く径路を横断した

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山神径路は5つの沢を横断しているが
沢の横断地帯は崩壊によってかなり径路は荒れている
それでも未だこの経路が保たれているのはこうした治水の為の
堰堤がしっかりと役目を果たしているからなのかも知れない
ヘビ小屋沢の堰堤

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やがて消えて行く運命の径路

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最近付け替えた??と思わせるほど標識類は未だ新しい

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尾根道に残る石碑?、表面の文字は読めない
何かの目印の役目も有るのかも知れない

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桟道だけでなくこうした斜面にもしっかりとした石積みの補強が残り
径路の崩壊を防いでいる
経路全体に渡りこうした補強が施して有るのはこの経路が重要な径路で有った
証か?・・しかし経路全体に積んだ石積みはかなりの量だ、その数に圧倒されてしまう

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板子屋沢横断

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堰堤下流の護岸石積みは、こんな山奥でここまでやるか?と言う程

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モチノキ沢に放置される「貴乃花」

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崩壊したザレ場
向こう側にはしっかりとした橋が見える
ここは巻かないで横断することにしよう、向こう側に続く筋が一本見える
滑落しても直ぐ下で止まりそうだし見た目ほどリスクは少ない

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其れよりも危険なのがこう言った木橋、一見安全そうに見えて、コレが滑るし、
腐っているし、何気なく歩くと痛い目に合う、
・・・斜めった木橋の歩行にはくれぐれも皆さん気を付けて下さい

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林道に降りる直前に数カ所崩壊している部分があるが
迂回路に沿って歩けば危険はない
最後は沢筋に沿って下降すると林道に降り立つ・・・10:15

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山神径路はまだまだ利用価値は高く、又、使用に耐える径路だった
一部の崩壊は有るが慎重に歩けば危険は少ない
しかし誰でもがハイキング気分で歩ける径路でも無い
やはり経験者が自己責任で利用するのが鉄則であろう
くれぐれも油断と無理は禁物で有る

帰るには未だ時間も早いのでユーシンロッジの様子でも見て行こう!!
人が使わなくなった家は径路と同様で痛むのが早いらしい
静まり返った山奥に開けたロッジは登山者が訪れるのをじっと待って居る
・・・10:35

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ロッジ裏の山神様にも帰り道の安全を祈願して行こう

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帰り道は雨山峠越えの登山道を歩く
沢沿いの径路は水音も涼しく気持ちが良い
やっぱり登山道は歩き易いな!!なんて歩いていると
径路に石積みの補強だ、登山道も少し前までは生活路として
山で生活をする人達に大切にされて来たのだろう

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周りの景色を眺めつつ歩くとあっという間に登山道も終点だ
朝は晴れ渡っていた空も大分雲が出て来た
鍋割山の山頂もガスが掛かって見ることが出来ない

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登山道入口・・・11:02
雨山峠・・・・・11:40
寄大橋・・・・・13:27

旧経路・山神様・鉱山、どうやら此の3つのキーワードは
とても密接に関わりが有る様だ
最近資料やらをweb上で色々と情報を探しているが
コレは!!と言うのが見つからない(ググリ下手とも言う)
図書館に行くにも時間が無いし引き籠ると何より山歩きの時間が無くなってしまうし
そんなジレンマに陥って少々悶々としているが
当面は現地調査を優先していこうと思っている今日この頃です


今日は、ブログ「雲のような日々」でお馴染みのshiroさんの山神径路探訪のコースを
コピーさせて戴きました・・・<(_ _*)> アリガトォ・・・御座いました

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コメント 12

ardbeg

相変わらずアップ早いですね
先々週、ユーシン~山神峠~玄倉と逆コースを辿ろうとしましたが
ユーシンから尊仏ノ土平~塔ノ岳と進路変更してしまいました。
(登山道歩きばかりなのでアップしてませんが)

山神峠~ユーシンが2時間弱とは早いですね。
冬になったらチャレンジしてみます。
by ardbeg (2011-06-06 07:03) 

MASAHIKO

ardbegさん
最近は沢に嵌ってい様ですが
檜岳周辺は楽しそうな尾根がいっぱい有りますよ!!
これから暑くなって来ますが、ガンガン汗をかいて尾根をもがき登る
其れも気持いいかも、と思います
・・・日曜日晴れるといいですね!!


by MASAHIKO (2011-06-06 20:57) 

shiro

2年前に山神径路を歩いた時の事を、懐かしく思い出しながら読ませていただきました。
まだザレ斜面の歩き方も不慣れだった頃。次々と現れる崩壊地にドキドキが止まりませんでした。雨上がり後のヌルヌル腐れ木橋で足を滑らせて、「死ぬかと思った」を経験したのもこの径路です。
いまだにそれがトラウマで残っていて、腐った木橋恐怖症です。(笑)
とにかく“オッソロシイ径路”だったなあ。MASAHIKOさんのように、径路の様子を観察しながら歩く余裕もありませんでした。

by shiro (2011-06-06 22:20) 

TI-AEK32

おつかれさまです~

小生も2年ほど前にここを決死の思いで通過しますた。
当日の石積み鑑定と、その後の資料調査の結果、
一アマチュア堰堤観察家としては、この経路については
否定的な見解をとらざるを得ません<(_ _)>

結論だけを申せば、この経路は昭和20年後半に
ユーシン奥地の県有林(現在は国有林)の治山工事の
ために整備されたものと思われます。それ以前には
数少ない人々の「生活のための道」があったのかも
しれませんが、資材運搬路として整備されたときに
固められてほぼ消滅したのではないかと。
一時は資材運搬用の索道(ロープウェイ)も通っていて、
ガーガーゴーゴー騒がしく、山神様の少し玄倉寄りには
治山工事の簡易宿泊施設も2棟立っていたっぽいです。
石積エンテイもその当時のもので、出来もそれなりと(泣)

よって当AEK32的には食指の動かない経路です~

という次第で、現状非常に厳しいこの経路、MSHK師の
写真とレポを拝見して、できることなら通過はお避けに
なることをお勧めしたく。。。の感を改めて強くしている
次第です<(_ _)>
by TI-AEK32 (2011-06-07 00:56) 

MASAHIKO

shiroさん
きっと今歩いたら、何であの時あんなにドキドキしながら歩いたんだろう
なんて思うかも知れません、
自分もVR始めた頃はいつもそんな感じでビクビクして歩いていました
経験は自信が付く反面、奢ってしまうこともあります
初心を忘れず慎重に行きましょう!!
by MASAHIKO (2011-06-07 20:22) 

MASAHIKO

TI-AEK32さん
いつも、いつも、ありがとう御座います
自分はどうも人間の創りだす、全ての物に興味がある様です
特に、山奥で人間たちが残した事跡に興味がつきません
見た目の美しさととか、その価値という物ではなく
その時、その人達が何をしていたのか、
そんなを物の痕跡を発見する事が楽しいのです、
例えば、名も知れぬ尾根道で発見した古い空き缶や、一升瓶
そして特に、山に放置された金属部品には職業柄目がありません
最近ようやく山歩きに余裕が出来て
脇目を振る余裕が出来てきました。
いろんな発見があって楽しい山歩きです!!、



by MASAHIKO (2011-06-07 20:44) 

AY

残っていたのは6/4のMASAHIKOさんの足跡でしたか。
6/7ウィークディでしたが休日ハイキングで山神峠通過してきました。顕著な崩壊2箇所より、ぬるぬる斜め橋通過のほうが緊張しますね!
本当は、玄倉野だけチョッとあるいて帰る積りだったんですが、先日昇った本沢からの小丸南尾根を降ってみたくなり山神経路を使うことになりました。浚渫工事終了後の熊木ダムも見たかったし。

玄倉BS→玄倉野→山神経路→小丸沢二股界尾根→小丸(ガスで本沢への下降ヤメ)→大倉尾根

12日よろしくお願いいたします。
by AY (2011-06-08 08:41) 

MASAHIKO

AYさん今晩は
ちょっとした散歩のはずが、随分と大回りになりましたね
さすがAYさん、自分にはマネは出来ません
本当は自分も熊木ダムまで行こうと思っていたんですが
時間の制約があり断念しました、アップが楽しみです
ヌルヌルの斜め橋は本当に要注意ですね!!

by MASAHIKO (2011-06-08 20:24) 

TI-AEK32

AY師範さま

ご無沙汰しております<(_ _)>
小生も2年ほど前にこの山神経路を決死の思いで通過しますた。
いかにAY師範とはいえ、この危険な経路をハイキングで通過されてはいけません!
一アマチュア堰堤観察家としては、この経路については否定的な(。_゜)☆\バシッ!

ところで5/15の山の神様ご奉公の記録をアップされましたが、
いよいよ独立サイトを準備中とのお噂を伺っ(。_゜)☆\バシッ!(。_゜)☆\バシッ!

MSHK師 失礼しますた(・◇・)ゞ
by TI-AEK32 (2011-06-08 21:53) 

AY

TI-AEK32さん

ケセン国南郷泥アゲ大作戦参加お疲れ様でした。

山神経路沿いにも結構ENTEIありますがダメですか!
この経路歩くとどうしてもマムシ(以前踏みそうになった)と熊(dnさん逃走)を思い出しますね。

MASAHIKOさん、失礼しますた(・◇・)ゞ

by AY (2011-06-09 06:51) 

shiro-AZK

MASAHIKOさんやAYさんにとっては、山神径路はハイキングに違いねェです。
お二人が表尾根をハイキングしている方が、気味悪いっす。
堰堤求めて、オオタギリ~大タル丸に行ってしまう、AEK氏だって、相当なもんですゼ。
崩壊地の通過は良いとしても、腐れ木橋恐怖症のAZKとしては、山神径路は恐ろしか道ですけどね。

思うんですが・・・
この道は、このまま自然に戻っていくのが良いんじゃないかと。県も再整備する気は、もう無いでしょうしね。
もちろん気楽な気持ちで踏み入れるべきではないですけど。
私も物好きの一人として、今後も時々訪れてみようと思っています。かつての重要な古道が自然に戻る姿を確かめるために。
その時はアイゼンは必ず持っていきますけどね。腐れ木橋対策として。
 
MASAHIKOさん、失礼しますた(・◇・)ゞ
by shiro-AZK (2011-06-09 23:07) 

MASAHIKO

えっ!!
そのZはなんですか??
MASAHIKO-AGK48より
by MASAHIKO (2011-06-10 20:10) 

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