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20131012 魔法のロープを巡る [丹澤探索]



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魚止め橋〈6:58〉―本谷沢ロープ取付〈8:30〉―白馬尾根ロープ上〈9:27〉―
中ノ沢乗越沢ロープ取付〈11:07〉―銀河周辺〈11:20~12:30〉―蛭ヶ岳〈13:36〉―
雷滝〈14:47〉―魚止め橋〈15:45〉



丹澤愛好家の間では有名な「魔法のロープ」
誰が何時、どんな目的で取り付けたものなのかは謎である

しかし、ひょんな事から新たなロープを発見し、それが呼び水となって
戦時中、航空機墜落現場での機体の残骸発見に繋がった

あらためてこのロープ群を地図に書き写してみると、何故か其処に共時性の如き
繋がりが有るように思えてならない

いやむしろそれは偶然でなく必然だったのかもしれないと考えられるのは
ロープ群が向かうその先に、大東亜戦争時、海軍厚木飛行場から飛び立ち未帰還となった
陸上爆撃機「銀河」が眠っているからである

そんな考えが頭から離れず、改めて島津愛介著「爆撃機銀河」を読み返し
墜落機発見の経緯や捜索の様子を検証してみた



機体発見者は、早戸川、大滝沢分岐から蛭ヶ岳頂上を目指した、とされている
早戸川、大滝沢分岐とは何処だろう?

早戸川は雷平で左右に別れる、左に行けば大滝沢と本谷沢だが
雷平から大滝沢・本谷沢出合までは何という沢名なのだろうか?
本書で言っている大滝沢分岐とは雷平から登って行く白馬尾根の事なのか?
大滝沢と本谷沢の界尾根の事を言っているのか定かではない

この辺りは山や沢に詳しくない記者の著作なので曖昧な点も多く
「もう少ししっかりと取材をしろよと!!」とツッコミを入れたくなるが
今更どうにもならないので推理してみよう

著者はどうやら「丹沢山」という呼び名をこの界隈の「丹沢主脈」と捉えている
ふしが有る・・・
一般的に云う所の「丹沢」である

そう捉えると、早戸川を溯って蛭ヶ岳を目指す一番手っ取り早いのは白馬尾根からの
アプローチだろう

発見者の猟師は白馬尾根から登ったのだろうか?


実はもう一点気になる事が有る
鳥屋方面から早戸川源流部に入る場合、伝道から雷平を経て大滝沢に沿って早戸大滝を
越え、箒杉沢乗越に至る旧径路の存在だ
現在殆ど道型は消えてしまった様だが、30年前ならまだ踏み跡ぐらいは有るだろうし
地元の猟師なら当然知っている径路であるはずだ
本谷沢から現場に向かった、可能性としては大いにありそうだ


〈旧経路図〉
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どちらにしても魔法のロープが墜落機の捜索に何らかの関係があるとすれば
このロープを辿って行けば墜落現場に到達出来るのではないか?

そんな思惑があって地図に径路を書き込んでみた

〈トップ経路図参照〉

ざっと説明すると伝道から雷平を経て早戸大滝までは旧経路(現在は破線路)を辿る
早戸大滝手前で右俣本谷沢に入り魔法のロープ2で尾根に登る
尾根伝いに歩いて行くと自然に魔法のロープ3の端末に出合い
ロープ伝いに更に登ると白馬尾根1300M地点、
ここからその高度を保って尾根の縁を回りこんでトラバースして行く
途中鬼ヶ岩沢を越える所が厳しそうだが其処を越えると中ノ沢に掛かる
魔法のロープ4の下端に行き着く、ロープを登れば現場はすぐそこだ


ざっと説明するとこんな感じだ
実際はこんな簡単には行かないだろうが実行する価値は有るだろう
更に今回はイガイガ先輩の力を借りての検証、気は抜けません



前置きが長くなったが、魚止め橋からの出発
通い慣れた径路は足取りも軽く雷平まではあっという間

そして嫌な思い出が鮮明に残る早戸大滝までの道のりを難なくこなし
大滝見物後本谷沢に入る

雷平、早戸大滝間の経路は荒れていて何処が旧径路か判別は付かない
今となっては“どこでも好きな所を歩いて下さい”そんな感じである



〈早戸大滝を下から見上げる〉
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〈本谷沢入口付近〉
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沢沿いにしばらく進めば左岸急斜面にトラロープが目に入る
慣れていれば容易に見つける事が出来るが下草が茂って斜面を覆ってしまえば
見過ごしてしまうだろう

足下がザレて登りにくい急斜面
ロープがなければ四つん這いで登らなければならない
有る物は有難く使わせてもらい尾根上を目指す


〈落石の危険も大きい〉
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地図上、はっきりとした尾根を、上の魔法のロープに向かって登って行く
初めは緩い傾斜だが登るに連れて急になり、やがて尾根型もはっきりしなくなる
この周辺は上りでも下りでも迷いやすい場所で要注意
そろそろロープが出てきてもよさそうな所だがなかなか見つからず
2人で周囲を見渡しながら登って行く

ようやくロープを見つけて一安心
このトラロープは下りに使えば自然に進むべき尾根に導いてくれるが
上りだと見つけにくい、やはり下り用に設置されたと見るべきなのか?


〈すぐ上は白馬尾根のカヤト〉
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ロープを登り切ると白馬尾根のカヤトが広がる
雪が降ると白馬の雪形が現れる斜面は生い茂ったカヤとイバラで歩き難い
更に最近では植生保護柵も設置され不用意に歩くと脱出出来ない恐れもある
足下の踏み跡らしき筋をトレースして歩いて行くとカヤトを巻いて進む径路のようだ
カヤトの先端と崩壊斜面の境界からの展望が開ける


〈すすきが秋の気配を演出〉
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ここまでの行程は順調、何回か歩いているので当然と言えば当然だが
しかしここからは未知の世界
本当に道なんか有るんだろうかと不安になる

白馬尾根を回り込んで西側斜面、実際に斜面に立ってみると幾筋かの
ラインが斜面を横切っている
獣が歩いた痕か人が歩いたかは定かではないが踏み跡は残っている
ラインの先を見極めながら慎重に踏み跡を追って行く


〈白馬尾根を廻り込んだ付近〉
IMG_6464.jpg


〈ラインが見えるかな~〉
IMG_6466.jpg



数カ所の切り立った斜面を越えて標高1300Mのラインを忠実に辿る

地形図に現れない小さな窪やザレ斜面を越える度にその向こうの踏み跡が気になるが
以外にも踏み跡は斜面に平行に続いて行く

踏み跡を追い、危険箇所を次々にクリアして行くと一際大きな沢筋にぶつかった
鬼ヶ岩沢である

3週間前にこの沢をを通過した筈であるが今いる場所が記憶に無い
それでも沢の真ん中に立ち上流部を眺めると薄っすらとではあるが記憶が蘇って来た

そうだ!!「あの上流の二股を右に行ってから左岸に逃げたんだ」・・・


〈鬼ヶ岩沢〉
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〈鬼ヶ岩沢本流上部・・・記憶が蘇る〉
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鬼ヶ岩沢を横切り、鬼ヶ岩沢、中ノ沢界尾根を回れば中ノ沢乗越沢源頭部
目の前には中ノ沢の魔法のロープが下流へ伸びている

当初の目論見通りロープからロープへとルートを繋ぐことが出来た
確かに踏み跡は残っていたし合理的なルートでは有る
今となっては崩れてしまっている所もあるが、当時はしっかりと道が有った可能性は有る


最近沢を歩いて思う事だが・・・
山を歩き始めた当初は、沢を歩くなんて思いもよらない事だった
沢はとても危険な場所で、滝は越えられない壁
「暗く、陰湿で立ち入ってはいけない所」そんなイメージが自分の頭から離れなかった
多分この捜索に参加した警察官や記者達もその様な考えから、本来は一番簡単な
中ノ沢を溯って現場に至るルートを避けたのではないか?そう思えてならないのである
だからこそこのルートが生きてくるんじゃないか?


〈前方斜面にロープが設置されている/左上〉〈ロープを頼りに登る〉
登る.jpg



墜落現場とされる場所は苔むしたゴーロの急斜面だ
その斜面の一部分が周囲に比べて若干凹んでいるのは機体が衝突したためなのかは
判断できないが、その窪みの周囲に破片は広がっている
前回は発見できなかった小さな破片や、イガイガさんが見つけた破片など
かなりの破片が周囲に散乱しているのだが、サビてしまった鉄片は
枯れ葉が保護色となって見分けがつきにくい
小一時間二人で周囲を探索しただろうか、お互いその辺は拘る性格、なかなかやめましょうか?とは言えないんだよね!!

探せばまだまだ色々と発見は有るだろうが
時間の制約がある、後ろ髪を引かれる思いで現場を去ることにした


〈枯れ葉と区別がつかない小さな部品〉
部品1.jpg


〈何処の部品だろうか?〉
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〈エンジンとプロペラの間に付いている減速機〉
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〈これは前回発見した減速機との比較〉
減速機1.jpg


※この減速機についてはキュウハ沢のエンジンに絡んで新しい発見があったので  後日別記事にてアップする予定です




探せばまだまだ色々と発見は有るだろうが
時間の制約がある、後ろ髪を引かれる思いで現場を去ることにした

鬼ヶ岩沢・中ノ沢乗越沢界尾根に乗り、上部でイガイガさんが発見した機体の破片を見学部品は引き裂かれて痛々しいが日本人の仕事らしい丁寧な仕上がりに感心し稜線に詰める


〈リベット止めが美しい、丁寧な仕事だ〉
破片3.jpg



〈稜線は竜胆の盛り、登山道の脇に咲き誇っている〉
稜線から.jpg



帰りは榛ノ木丸経由で行きましょうか?なんて軽口を叩いたが
やけに遠く見えてパス、蛭ヶ岳から市原新道経由に変更



<帰り道.jpg


〈雷滝の涼風に打たれて帰路を急ぐ〉
IMG_6528.jpg




魔法のロープと銀河を繋ぐこの軌跡を見てご満悦なのは若干2名
他の人には「?・?・?」の世界だが、やってる当人達は本気の大真面目だからね!
自分の推理も「結構いい線、行ってんじゃないの?」と思えてしまう軌跡でした

ウ~ン、近からず、遠からずって感じかな
でも意外に歩きやすかったな~

では実際の所はどうなのよ?
新聞社にでも問い合わせてみるのも野暮って~もんじゃ~御座んせんか!!




イガイガさん色々と有難う御座いました
またやりましょうね!!


〈今日のコース〉
無題.jpg

 ※早戸大滝~鬼ヶ岩の頭間だけ
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コメント 4

イガイガ

UP早っ!
きょうも体力作りに行っていたので、記事手つかずです。
ま、ゆっくりやらしてもらいます。

だから何だと言われればそれまでですが、この達成感、充実感がわかるのは、ごくごく限られた拘り人間だけですからね。

例のプラン、もうちょっと練れたら、また遊びに行きましょう。
by イガイガ (2013-10-14 17:41) 

MASAHIKO

イガイガさん
今日も体力アップ、羨ましい、週末が楽しみデスね

当方、出るに出られず、飼い殺し状態で
言ってみれば・・・唯の お・る・す・ば・ん・・・
他にやること無いんで頑張っちゃいました

でもね!書きたいことの半分も記事に出来なくて
この気持を発散させた~い!!と言った所ですか

新たな発見も有りましたよ、続編もお楽しみに
例のプランも抜かりは有りません、よろしく!!


by MASAHIKO (2013-10-14 17:58) 

はっぴー

あーあ、今回は残念!
次回こそ、参加したい!! m(_ _)m

私の場合は“体力アップ”ではなく、“体力温存”?
でもやっぱり、まずはお二人についてける体力作りかな。

写真合成、うまくできてますね。
by はっぴー (2013-10-15 09:47) 

MASAHIKO

次回こそお願いします

体力的には姐サンのほうがタフですが
肝心なのは、好奇心と精神力です・・(^_-)-☆

写真合成、雰囲気が変わって嵌りそうです
by MASAHIKO (2013-10-16 20:34) 

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